2014年11月23日日曜日

『フラテルニテ』体験版をやってみて

 

はじめに

アダルトゲームを初めてやりました。(といっても体験版ですが…)
以前から『ユーフォリア』なる作品が面白い、と聞いてたのだけどなかなか購入するハードルが高く……。
時期を逃していたら、『ユーフォリア』と同じレーベルからの最新作が本作『フラテルニテ』だとのことで、体験版をダウンロードした次第です。

なにぶん初めてのエロゲープレイは新鮮で(ビジュアルノベルはいくつかプレイしましたが)、プレイしていて少し思ったことがあったので、ここに書き留めておこうかと。
ブラックな就労環境で更新が覚束ない中、久々の更新記事がエロゲーの記事という末期具合にドン引いている方、ごめんなさい。



ユーザーからの低評価









まずはじめに得た情報が、前作『ユーフォリア』(というと語弊があるかもだけど)の評価が軒並み高いのに対して、『フラテルニテ』はあまり高くないということ。とはいってもエロゲーのレビューサイトなんて見たこともないし知らないので、情報源はAmazonのレビューなんだけども。

要因は色々あるようなのだが、僕自身ネタバレを避けながら読んでいるので分かったことといえば「シナリオが短い」「救いがない」「スカ◯◯がエグい」など。これらは『ユーフォリア』と比較したユーザーがそういった結論に至ったようです。

そうなると『ユーフォリア』をやっていないし、できれば『ユーフォリア』のネタバレも読みたくない人間にとっては評価が低くてもフラットに本作をプレイできるな、と感じチョロっとやってみた次第です。


ゲーム本編(といっても体験版だけ)

プレイ前はメガネの委員長が好みでした(今は特になし)
















※体験版しかプレイしていないのであくまでそこから汲み取れるものしか書いていません。体験版以降の展開により本編に違いがある場合はごめんなさい。

本作のあらすじを紹介すると、強姦被害にあった主人公の姉が「住み慣れた街から離れたい」と家族に言ったことを機に新しい街へ引っ越し、その引っ越し先にある新興宗教的な組織に姉が入れ込んでしまい、そこから姉を助け出したいが苦悩する主人公の奮闘……といった感じです。

なぜ主人公が苦悩するのか? というと実は彼の転校先の学校の知り合いのほとんどがその新興宗教に入れあげており、自分の協力者がいないからです(別に引っ越し先の街全体がその宗教に染まっているわけではなく、あくまで主人公の周りのクラスメイトたちだけのよう。ちょっと御都合主義ですね)。

その新興宗教がまたトンデモカルト集団で、(まぁエロゲーなんで当然の展開なんですが)ほぼ乱行サークルなんですね(しかも大麻的なのを焚きながらブッかましてるっぽい)。
その組織を仕切っているのが50代くらいの見た目は温和な紳士なんですが、いざそのシーンになると調教口調になってすんげーキモい。その時だけおっさんの音声がオフになるのは制作サイドの配慮みたいだけど、そもそもシチュエーション的に「無理!」と思い僕は高速クリックでやり過ごしました。

そこで強姦被害にあい、心を傷付けたはずの姉が見知らぬおっさんと行為に及んでいる様を主人公が見てしまい(それ以上のトンデモ展開になりますが、詳しくは体験版で!)、当然ながら困惑するのですが、メインヒロインぽい登場人物から言われるとある一言が強烈です。
「あの人たちはセックスをすることで幸せになれる。大勢の人の前で不特定多数の人と行為に及んで悦ぶ姿は、社会的には相応しくないのかもしれないけど、そこで幸せを得ている人たちからその権利を奪う自由があなた(主人公)にあるの?(かなり意訳です)」

「それでも俺は姉さんを救いたい!」と主人公は言うのですが、画面向こうの僕としてはとてもはっとさせられた気分になりました。このやり取りに実は本作のテーマがあるのでは? と思ったのです。

好きなものを楽しむ自由


制作サイドが意図しているか分かりませんが、これは言わばエロゲーファン的な「(世間から見ると)インモラルな趣味を楽しんでいる人たち」へも通ずる考えであるな、と思いました。
どういうことかというと「はたから見ると気持ち悪いものは犯罪につながるから根絶だ!」という流れの中で、ゲームやアニメが規制対象にされかねない現状と、この主人公の考える「常識」と、現に救われている人がいる「新興宗教」の関係に非常に似ていると感じるわけです。

モラルに囚われるだけじゃ救われない人間が一定数いる。他人に迷惑をかけなきゃ個室の中でくらい逸脱させてくれ。それで人生が(広義の意味で)救われているのだから。

しかしこの物語にエロゲーをやっているユーザーを当てはめると、「新興宗教」側の人間になってしまう。一方ユーザーは主人公目線、つまり「規制する側」としての目線でゲームプレイをします(実は群像劇タッチなので視点はシーンごとに他のキャラになったりもするのですが…あくまで物語全体の目線の話です)。
そうなると無意識的にこのゲームのストーリー(というかメタファー?)に拒否反応を起こしてしまうのでは、とエロゲー童貞の僕は感じました。

でもこうやって考えてみると、この作品は非常に面白い問題提起をしているんだなと感じます。そうなると「救いのない物語=規制のない世界」は実はユーザーにとっては「ある意味での救いの物語」になるんじゃないか…みたいな逆転現象が起こりうるわけで。

たとえばエロゲー好きのタカシくん(30歳・童貞)が親戚のおっさんに「タカシくん、いつまでもアニメの女の子に欲情してないでいい加減結婚しなさい!」みたいな説教をかまされたら当然「余計なお世話だよ!」と怒るわけです。
これだけならまだしも「あいつは小学生好きのヤバいやつだ…」みたいな風評被害が回ったらそれこそたまったもんじゃないです。

個人の嗜好の話と『フラテルニテ』 の物語を同じ次元で話すなよ、と突っ込まれそうですが極限まで突き詰めると地続きである、と言い切っても過言じゃない。
現に主人公に対し姉が「あなたがどう思っていても、サークルの迷惑になるような噂を撒かないでね!」と怒るシーンがあります。
彼女も世間一般から見れば後ろめたい行為を自分がやっている、ことは認識しているわけです。

ですがそれについて迷惑している人はいない、むしろ救われていると思っているからこそ自分のコミュニティを守りたい、昨今の2次元コンテンツ産業の象徴のような構図になっているようでとても切なくなりました。

そして…

ここまで長い文書いておいて、一つ問題なのが「お前は製品版を買うのか問題」なのですが、正直なところ非常に迷っています。
これがハードカバーの本で2千円くらいのものであれば即買いなのですが、エロゲーって高えのな。
PS4のゲームソフトくらいの値段がするので、まず財布的な問題で迷っています。

もう一つが「買うことで一線越える感あるな」的な話です。僕自身アニメは好きだし、ゲームもちょくちょくやるし、多分これよりハードコアな小説も読んだことあるし、、と考えれば「いけるやん!」ってなると思うのですが、踏ん切りが付かず……あと、あのショップの独特な雰囲気に気圧されます(「店には行ってんのかい!」には「はい。」と潔く答えます。ちなみにソフマップです)。
まぁこれはTSUTAYAののれんゾーンも似たようなもんか……。

皆さんにはこのブログにプレイ後記事が上がったかどうかで判断していただければ…と思います。
ちなみにこの記事、非常にまじめなタッチで書きましたが、実際プレイすると思わず笑っちゃうシーンが多いです。洗脳されたことを過剰に表現する演出なのかもしれませんが、そこを含めて笑っちゃいます。

ちなみに検索をかけていたら開発者インタビューに引っかかり…。
あくまでも「実用ゲー」とのこと
まぁ価値観は人それぞれですから。

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