2013年10月5日土曜日

きっと、うまくいく

★★★★★

インドで興行収入歴代ナンバーワンを記録する大ヒットとなったコメディドラマ。インド屈指のエリート理系大学ICEを舞台に、型破りな自由人のランチョー、機械よりも動物が大好きなファラン、なんでも神頼みの苦学生ラジューの3人が引き起こす騒動を描きながら、行方不明になったランチョーを探すミステリー仕立ての10年後の物語が同時進行で描かれる。(http://eiga.com/movie/77899/より)

にわかに注目を集めているインド映画だが、『ロボット』の印象が強く、破天荒かつ大味なイロモノ映画が多いのかと思っていたら、興行収入ナンバーワンを射止めた本作は直球なエンタメ作品。

160分という壮大な尺も一切だれることなく、腹がよじれるほど笑わせられたと思えば気付けば涙していたりと、感情のジェットコースターに乗せられたような最高の一本だ。

普通の映画作品であれば本作に出てくる挿話二三個でダラダラと二時間の映画を作るのだろうが、本作は過去を振り返る形式で学生時代のエピソードが主人公それぞれにスポットを当てたものから、本作の悪役である学園長(ホントは悪い人ではないんだが…)の家族にまつわる話まで、幅広く取り上げており、感情移入の度合いが他の映画の比ではない。
 
映像表現も難病をギャグとして映したり、時に登場人物がミュージカル風に歌い上げたりと観る者を飽きさせない工夫がなされている。

何より素晴らしいのが主人公であるランチョーのキャラだ。

成績・就職至上主義のエリート大学に「本来の学問のあり方」を問い続け、体制に屈することなく自らの信念を曲げずに学園長に立ち向かう姿勢はヒーローそのものだ(おまけに成績は大学トップなのだから恐れ入る)。

インドでも自殺が社会問題になっているようで、本作でも度々問題視される。

受験や進学、または就職に苦しみ、命を絶ってしまう極端なエリート社会のインドに、自殺大国である日本の病理を重ねて見てしまう人も多いのではないか。

ランチョーが周りの人間が困っている時に言うセリフ「アール・イズ・ウェル(All Is Well)」が邦題の由来だろう。

英語のタイトルが「3 idiots」のようだが邦題の方が本作を的確に表している。ただ単に3バカが大騒ぎする青春ムービーではないからだ。

この「アール・イズ・ウェル」が大活躍するエピソードが本作の最大の見せ場だろうか。

伏線が丁寧に張られた作品で、ラストに明らかになる、ある人物の真実もニヤリとすること間違いない。

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